函館で暮らす20代へ|コーヒーを淹れるために帰る家
- 建築設計 キタザキ アーキテクツ

- 6 日前
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先日のブログ『20代で家を建てるのはアリか?』
この記事に対して『じゃあ どんな家が可能か?』勝手に考えてみた!
20代で家を建てるという選択は、少し早いようにも感じるかもしれない。
将来の働き方や家族構成もまだ定まらない中で、「持つ」ことに不安を感じる人も多いと思う。
それでも今、家を建てる意味があるとすれば、それは「自分の時間の質を高めるための拠点を持つこと」ではないだろうか。

リビングに入ると、視線の先に5.5メートルのキッチンカウンターが現れる。
この家では、その存在自体が空間の軸になっている。
エスプレッソマシンから立ち上る湯気、
ゆっくりとドリップされるコーヒー
カウンター越しに交わされる何気ない会話
ここは単なるキッチンではなく、「時間を過ごす場所」として設計されている。

カウンターの足元には間接照明が仕込まれ、床から柔らかい光が立ち上がる。
夕方から夜にかけては、その光が空間全体を静かに包み込み、昼とは異なる表情をつくり出す。
背面の壁には、コーヒーにまつわる道具や器、そしてイメージ写真が並ぶ。
それらは単なる装飾ではなく、この家に暮らす人の価値観を映し出す“背景”として存在している。

天井は三角屋根の勾配をそのまま現し、木の質感が空間に奥行きを与える。
高い位置に設けたロフトは、カウンターを見下ろすもうひとつの居場所だ。
淹れたコーヒーを片手に、少し距離を取って空間を眺める。
そんな時間の過ごし方も、この家の一部になっている。

一方で、窓際には小上がりのスペースを設けた。
外の光を感じながら、低い位置でくつろぐ場所。
本を読む人、静かに過ごす人、あるいはただぼんやりするための居場所でもある。

床に落ちる光、コーヒーの香り、機械の音、人の気配
それらがゆるやかに重なり合い、ひとつの空間をつくり上げていく。
函館のように、冬の時間が長い地域では、室内で過ごす時間の質が暮らしの豊かさに直結する。

だからこそこの住宅では、広さや部屋数ではなく、「どう過ごすか」という視点から空間を組み立てている。
20代で家を持つということは、完成された暮らしを手に入れることではない。
むしろ、自分の好きな時間を軸に、これからの暮らしを編集していくことだと思う。




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