性能は正しい。でも、それだけでは家は建たない
- 建築設計 キタザキ アーキテクツ

- 2月10日
- 読了時間: 3分

建築家が「性能」を語りすぎると、なぜ仕事が減るのか
断熱性能、気密性能、省エネ性能、構造性能!
UA値、Q値、BEI、許容応力度計算による『耐震等級3』!
家づくりにおいて、これらが重要であることは間違いありません。
特に雪国や寒冷地では、性能の良し悪しが暮らしの質をそのまま左右する
それなのに——
性能の話をすればするほど、なぜか仕事につながらない
そんな感覚を持ったことがある建築家は、きっと少なくないと思います。

正論なのに、なぜか届かない
「この家はUA値0.27です」
「C値は0.2なので、かなり高気密です」
「暖房負荷は一般的な住宅の半分以下になります」
どれも 事実ですし、嘘も誇張もありません
それでも打ち合わせの空気が、どこか止まる
もちろん!
わかって頂けるお客様もいらっしゃいますが
ごく少数、、、
性能がいいのは分かるんですが……
その一言のあと、会話が前に進まない。
この違和感は、性能が足りないからではありません。
むしろ逆で、性能を語りすぎていることが原因の場合が多いのです。

性能を語るほど、主語が「人」から離れていく
UA値やQ値は、家の性能を示すための指標
しかしそれは、暮らしそのものではありません。
多くの人が本当に知りたいのは、こんなこと
冬の朝、布団から出るのがつらくないか
窓のそばにいても寒くないか
暖房費を気にせず過ごせるか
冬でも光を感じられるか
ところが数値の話を始めた瞬間、会話の主語が変わります。
「あなたの暮らし」から 「この建物の性能」へ

性能を語れる建築家ほど、説明が早すぎる
建築家は、もうゴールを知っています。
性能が足りない家がどうなるか
数年後に後悔が生まれるポイント
暖房計画を誤った家の将来
だから先回りして説明したくなる。
一方で、家づくりを始めたばかりの人は、 まだその世界に足を踏み入れたばかりです。
この理解のスピード差が、 「難しい」「よく分からない」「任せきれない」 という感情につながっていきます。

それでも、性能を語るのをやめられない理由
それでも建築家が性能の話をしてしまうのは、 売りたいからではありません。
後悔してほしくないからです。
性能は、建ててからでは取り戻せません。
断熱も、気密も、窓の選択も、 完成後に簡単にやり直せるものではない。
特に雪国では、 「知らなかった」では済まされない差が生まれます。
だから説明する。 だから伝えようとする。
それは、誠実さの裏返しでもあります。

性能は、主役ではない
じゃあ、性能の話はしない方がいいのか。
答えは、NO
順番が違うだけなのです。
先に話すべきなのは、数値ではありません。
冬の朝、室温は何度くらいになるのか
窓辺でコーヒーを飲めるか
暖房を止めても、夜まで冷えにくいか
その体感を支える根拠として、 最後に性能の数値が出てくる。
性能は主役ではない。 暮らしを裏付ける証拠です。

性能を語りすぎる僕は、不器用なだけ
性能を語りすぎる僕は、 たぶん不器用なのかも
分かりやすく話せなくても、 将来の後悔だけは減らしたい。
だから今日も性能の話をしてしまう。
でも、選ばれるためには順番があります。
まずは、あなたの暮らしの話をする。
そのあとで、性能の話をする。
それでも僕は、今日も性能を語ります。
ただし、あなたの暮らしを想像したあとで。




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