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完成より、その後を大切に──15年暮らして気づいた建築の心得

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経年劣化を意識した設計の心得


建築は、完成した瞬間がゴールではありません。


むしろそこから始まる「時間との付き合い方」が、建築の本質を決めていきます。

だからこそ私は、設計の段階から「経年劣化」を意識することを大切にしたいですね。


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たとえば外壁や屋根

外壁の裏には確実な縦胴縁による通気層を設け、屋根鋼板の裏にも確実な通気空間を欠かしません。


外壁材を選ぶ際も、流行や価格だけで判断するのではなく、メンテナンスのしやすさや劣化の少なさを重視します。


ときには、建て主自身が自分の手でメンテナンスできる余地を残すことも、長い目で見れば大切な要素になります。


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気密や防湿についても同じです。

室内の湿気を壁内に侵入させないために、気密シートの厚さや施工方法を確認し、

必ず気密測定試験で性能を検証します。


こうした積み重ねが、目には見えない安心につながります。

換気システムは将来的に機器を交換することを前提に選びます。


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内装材については耐久性や防汚性を考慮し、床材の選定にも注意を払いたいですね。


無垢材であれば、傷などは経年変化として受け止められますが、プリント系の床材ではわずかな傷が気になる方も少なくありません。


建具もまた、狂いにくい製品選定や建具調整のしやすさを基準に選定する必要があります。


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さらに、安全と維持管理への配慮も欠かせません。

雨水の処理や落雪への対策を盛り込み、事故を予測した設計を行う。


照明器具は交換可能なLEDを基本とし、特殊な海外製品や特注品を多用するのではなく、

代替が効きやすい製品を心がける。

これらはすべて、「将来の維持管理を容易にする」という視点につながります。


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建築は「完成した瞬間」だけの美しさを競うものではなく、年月を重ねながら暮らしに寄り添い、少しずつ育っていくものです。


その視点を忘れずに細部まで配慮することが、真に持続可能な建築をつくる第一歩だと考えています。


――そして、これは設計者としての理屈だけではなく、私自身が自邸に15年暮らしてきた中で実感したことでもあります。


住み続ける中で得られる気づきこそが、次の建築に生きる学びになるのだと思います。


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