厚みを隠さない|北海道の平屋における断熱と構造のデザイン
- 建築設計 キタザキ アーキテクツ

- 5 日前
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地面から立ち上がる厚い壁について考える。
現代の住宅デザインにおいて、「軽やかさ」や「薄さ」は一つの価値として定着してる
細い柱、薄い屋根、シャープな納まり、、、
それらは確かに洗練されて見えるし、多くの人に受け入れられやすい。
ただ、その価値観をそのまま北海道に持ち込むと、どこか無理が生じる。
冬は長く、寒さは厳しい。
断熱は必然的に厚くなり、気密性能も両立して求められる。
さらに木造である以上、構造体を雨から守るための配慮も必要になる。
可能なら軒は深くしたいし、断熱性能向上を目指し外皮は厚くしたい。
それらはすべて「仕方なく生まれる厚み」とも言える。

けれども、その厚みを隠そうとすると、建築は途端に不自然になる。
薄く見せようとする工夫は、どこかで無理を孕み、結果として嘘っぽさが残る。
であれば、その厚みをそのまま受け入れ、むしろ積極的に建築の表現へと転換できないか?
今回考えているのは、厚い地面からそのまま立ち上がるような壁を持つ平屋
その壁は単なる仕切りではなく、構造を支え、環境を受け止める存在としての厚みを持つ。1.8メートルの深い庇を支え、雨や雪、強い日差しから内部を守る。


庇の下には、自然とアプローチが生まれる。
人はその厚みの中に入り込み、潜るようにして玄関へと至る。
ここでの体験は、「入る」というよりも「包まれる」に近い。
また、この厚みは性能とも直結している。
断熱材の厚さは、そのまま壁の奥行きとなり、開口部には深い陰影を生む。
光は単に差し込むのではなく、削られ、滞在し、時間の変化を可視化する。
構造的な厚さ、環境的な厚さ、そして性能としての厚さ。
それらが分断されるのではなく、一つの建築として統合されるとき、この住宅は成立する。

もちろん、このような表現は好みが分かれるだろう。
軽やかで透明感のある建築を好む人にとっては、重く、野暮に映るかもしれない。
それでもいいと思っている。
すべての人に好かれる必要はない。

むしろ、その土地にとって無理のない構法を選び、流通している材料で、きちんとした性能を確保し、その結果として生まれるかたちを受け入れる。
その態度こそが、これからの建築にとって重要なのではないか。
無理をしないこと。
その積み重ねが、結果として空間になる。
厚みを隠さず、そのまま建築にする。
そんな平屋を、今、考えている。




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