「高性能住宅は高い」は誤解?太陽光と設計で暮らしのコストを抑える方法
- 建築設計 キタザキ アーキテクツ

- 5月16日
- 読了時間: 3分
家づくりの相談でよく耳にするのが、
「高性能住宅って、やっぱり高いんですよね?」という言葉。
たしかに、断熱・気密・設備性能を高めようとすれば、
それなりの初期コストはかかります。
でもその一言で済ませてしまうのは、少しもったいない。
本当に問うべきなのは、「高性能住宅=損なのか?」ということです。

■ 「家を買う」のではなく「暮らしを設計する」
高性能住宅とは、単に断熱材を厚くすればいいという話ではありません。
住まい手の暮らし方や土地の条件、気候風土を読み取りながら、
快適性・省エネ性・美しさを設計の中で丁寧に調整していく。
そこには建築家としての“デザインと機能の融合”が問われます。
自然光の入り方や、外観のバランス。深い軒の出や窓の高さも、
単なる意匠ではなく、性能と美しさを両立するための工夫です。

■ エネルギーを“自分でまかなう”という考え方
私たちが手がけた北海道函館(北国でも)住宅のひとつでは、
5.7kWの太陽光パネルを搭載し、年間約7,400kWhを発電。
それに対して、住宅の年間消費電力量はほぼ同等──
つまり、使うエネルギーを自分の家でまかなえる設計を実現しています。
これは、UA値0.22、Q値0.97、C値0.15、BEI=0.69(ZEH+水準)
という徹底的に追い込んだ断熱・気密設計と、パッシブデザインがあってこそ。
数値の裏には、きちんと“暮らしの質”が宿っています。
■ 安さより、バランス感覚を大切に
「予算を抑えたい」という気持ちは、誰にでもあるものです。
ですが、安さばかりを追い求めた先には、本質的な満足はありません。
私たちが大切にしているのは、コスト・性能・デザインの“ちょうどいい関係”
を見極めること。
たとえば、材料を絞っても空間の質感を落とさない設計。
日射取得と日射遮蔽を両立する庇のライン。小さな家でも広がりを感じられる窓の配置。
設計には、「お金では買えない工夫」が詰まっています。

■ 設計料に価値を感じるという選択
設計・構造・省エネ計算・現場監理まで──
私たちはすべてを一貫して自分たちの手で行います。
それは、性能も、暮らしやすさも、そしてデザインの美しさも、妥協なく貫きたいから。
設計料とは、単に「図面を描いてもらう費用」ではありません。
将来後悔しないための判断軸であり、**暮らしを一緒に考えるための
“思考の伴走料”**です。

■ おわりに
高性能住宅は、確かに安くはありません。
でも、そこに込めた意図や工夫を理解し、共に考えてくれるクライアントと出会えた時、家づくりは格段に面白くなる。
設計者として、できる限りの力を注ぎ、その家にしかない“答え”を引き出したいと思っています。







コメント