「北海道の住宅に最適な基礎断熱とは?UA値が不利に見える理由と空間デザインの可能性
- 建築設計 キタザキ アーキテクツ
- 8月5日
- 読了時間: 3分

北海道の住宅で注目される「基礎断熱」
北海道のような寒冷地では、高い断熱性能が住宅の快適性や省エネ性に直結します。
その中でも注目されるのが**「基礎断熱」**という断熱方法です。
ただし、基礎断熱を採用するとUA値(外皮平均熱貫流率)が不利に見えるという側面があります。
この記事では、基礎断熱と床断熱を比較しながら、UA値の見え方と、基礎断熱がもたらす空間的な可能性について解説します。

UA値とは?住宅性能の重要な指標
UA値とは、「外皮」と呼ばれる建物の外側の部位からどれだけ熱が逃げるかを数値化したものです。
単位はW/㎡Kで、数値が低いほど断熱性能が高いとされています。
国の断熱等級やZEHなどの基準も、UA値を基に評価されます。

基礎断熱はなぜUA値が不利になるのか?
1. 外皮面積が増える
基礎断熱では、基礎の立ち上がりやスラブ下も「外皮」としてカウントされます。
一方、床断熱は1階床の上面が外皮になるため、外皮面積が少なく、UA値が良く見えます。
2. 地面との接触部分が過大評価される
実際には地面は外気より安定した温度を保ちますが、UA値計算上では「地面も外気と同じ」として熱損失が大きく見積もられます。
そのため、実際の熱の逃げ方よりも悪く評価される傾向があります。

基礎断熱だからこそ実現できる空間設計
UA値が不利に見えても、基礎断熱には床断熱では実現できない設計上のメリットがあります。
代表的なのが「ラウンジピット」のような床を下げた空間の設計です。
基礎断熱では、基礎ごと断熱されているため、室内の床レベルを自由に設計可能
コンクリートスラブを見せたり、蓄熱を活かしたりと、設計の幅が広がる
床下からの冷気を感じにくく、空間全体の快適性も向上
デザインと性能はトレードオフではない
住宅設計において「性能」と「空間デザイン」はしばしばトレードオフのように語られがちです。
しかし本来は、性能がデザインの自由度を支えるという考え方も可能です。
性能を犠牲にせず、むしろ性能がデザインの自由度を支える。
これはキタザキアーキテクツが設計の中で一貫して大切にしている思想です。

まとめ|UA値だけで判断しない住宅性能
基礎断熱はUA値上は不利に見えるが、実際の快適性・気密性・設計自由度は高い
ラウンジピットのような空間設計は基礎断熱でこそ可能
UA値だけでなく、Q値・C値・光熱費・室温安定性など多面的な評価が必要
北海道のような寒冷地では、単なる数値よりも「実際の暮らしやすさ」に目を向けた設計が求められます。
コメント