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【連載:建築家が答える家づくりQ&A #06】


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住宅性能の基準、きちんと見ていますか?


家は見た目や間取りだけでなく、“性能”がとても大切です。

特に北海道のような寒冷地では、断熱・気密・日射の取り入れ方まで含めて、「家の性能」が日々の快適性や光熱費に直結します。


では、その性能をどうやって判断するのか?

今回は、住宅性能の基準とその正しい見方を解説します。



■ 建築家の答え:基準には「数字で測れる」ものと「測れない」ものがある


住宅の性能には、主に以下のような「数値基準」が存在します。


1. 断熱性能(UA値)

  • 外皮平均熱貫流率(W/㎡K)

  • 小さいほど断熱性が高く、熱が逃げにくい

  • 北海道(6地域)での基準:

    • UA値 0.46以下 → 断熱等級6相当

    • UA値 0.26以下 → 断熱等級7相当(次世代レベル)


2. 気密性能(C値)

  • 住宅全体の隙間の大きさ(㎠/㎡)

  • 数値が小さいほど隙間が少なく、冷暖房の効率が良い

  • 一般的にはC値1.0以下が高気密住宅、私たちは0.2前後を基準に設計

  • 第三者機関による工事途中での気密測定試験の実施


3. 熱損失係数(Q値)

  • 家全体から逃げる熱の量

  • UA値だけでは読み取れない、暖房エネルギーと日射取得に関わる性能


4. 耐震性能

  • 耐震等級3(許容応力度計算による)


5. 一次エネルギー消費量(BEI)

  • 設備機器を含めた省エネの総合評価

  • BEI 0.8以下 → ZEH基準

  • BEI 0.6以下 → ZEH+基準(高性能)


■ 認定制度もチェックしておこう


設計段階から性能を満たすことで、以下のような制度に対応できます。

  • 長期優良住宅:長く良好な状態で住み続けられる家

  • 認定低炭素住宅:環境に配慮した省エネ住宅

  • ZEH・ZEH+(ネットゼロエネルギーハウス):創エネと省エネを両立

  • BELS(ベルス):建物のエネルギー性能を★で評価


補助金や減税など、金銭的メリットにもつながるため、早い段階で検討する価値があります。



■ キタザキアーキテクツの考え方

私たちは、UA値だけでなくQ値やC値、BEIのバランスまで見ながら設計を進めています。見学会では、実際の数値を示しながら「なぜこの性能が必要なのか?」もお話しています。

性能は、ただの数字ではありません。

設計思想と施工精度が融合して、初めて意味を持つものです。



■ 最後に|性能は「快適」と「安心」の土台です


住宅性能とは、日々の快適さ・健康・エネルギーコスト・将来価値に直結する

“住まいの土台”

だからこそ「どの基準を目指すか」ではなく、「自分たちの暮らしに何が必要か」を見極めて選びましょう。




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