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“分譲地=整列”じゃなくてもいい|街並みを再設計する建築家の試み


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街並みから設計する建築家としての挑戦

——『ムカイノビレッジ』という分譲計画から考えたこと



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建築だけでなく、暮らしの風景ごとデザインしたい


私たちキタザキアーキテクツは、住宅の設計だけでなく、分譲計画や街並みのデザインそのものにも関わる可能性を探っています。


その一環として手がけたのが、かつての分譲地プロジェクト『ムカイノビレッジ』です。



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パッシブデザインが導いた“ばらばら”な街並み


この計画の中心に据えたのはパッシブデザインと隣家との調和と配慮です。

南からの自然光をたっぷりと取り込むため、一棟一棟の配置を細かく調整しながら、

隣の家に影を落とさないように設計しました。


その結果、建物の向きや配置が整然とはならず、一見ばらばらに見える街並みと

なりました。

しかし、これは**自然と調和するための必然の“ばらつき”**なのです。




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雑木林のような共有空間と、つながりすぎない安心感


区画と区画の間には雑木や樹木を植え、自然の中で過ごすような空間構成を目指しました。

リビングからは隣の家が直接見えないけれど、木々の間からほんのりと人の気配と隣家の

板壁が雑木林と馴染んで雰囲気を感じる


そんな「つながりすぎない安心感」を大切にした設計です。




地元材で仕上げる、住む人ごとの自由な表情


外壁には地元・道南杉を使った板張りを基本とし、屋根は太陽光パネルの搭載を

想定して南面に片流れ。落雪への配慮も心掛けた。


それ以外の仕上げ材や色合いは住まい手に委ねるコンセプト。

分譲地でありながら一棟ごとの個性が際立つデザインを提案しました





現存しない分譲当時の看板
現存しない分譲当時の看板

残念ながら実現には至らなかったが…


この分譲計画は、一般的な「整った見た目」ではなかったこともあり、

大きな反響にはつながらず、実現には至りませんでした。


ですが、分譲地を“建物の集合”ではなく“暮らしの風景の集合”として設計する

いう、新しい視点に手応えを感じたことも確かです。




街並みまで設計するという、建築家の役割


もし今後、別の場所でもう一度このような分譲地計画に取り組めるなら、

私たちはまた挑戦してみたいと思っています。


建築家は建物を設計するだけではなく、人と人の距離感や、暮らしの風景そのものも

描ける存在でありたい。


それがキタザキアーキテクツの考える、“街並みまで設計する建築家”という役割です。




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