沈思黙考
このページは、自分のためだけの場所、自分に言い聞かせる場所
日々の思考、建築のアイデア、過去・現在・未来の自分を、自由に書き残す
評価も正解もいらない
ここは、自分を確かめ、立ち位置を見つめ、未来を描くための羅針盤
スポーツと仕事
身体との対話重視
身体は日々の仕事や人生のバロメーターだ。
スポーツを通して、自分の限界や体調を感じ取り、
今日は力を出すのか、今日は休むのかを判断する。
安定したパフォーマンスを追い求めることも大切だし、
休むこともまた自然で正しい。
仕事がある日もあれば、ない日もある。
個人事業主としての不安定さは、身体が教えてくれる。
身体との対話は、単なる運動ではなく、人生を考える手段でもある。
日々の呼吸、筋肉の緊張、疲労の感覚。
それらを通じて、仕事の向き合い方や自分の立ち位置を見つめ直す。
ここは、自分と向き合う静かな場所。
他人の評価や正解は必要ない。
ただ、自分の身体と心に耳を澄ませ、今日の自分を確かめるだけだ。



庇を再考
今日の窓外は、夏の大雨
雨粒が庭や木々を打ちつける音に耳を澄ませながら、庇のことを黙考した。
深く伸びた庇は、大きな傘のように空間を包み、雨や光から守るだけでなく、心に安心感をもたらす。
建築における「傘のような屋根」というテーマは、単なる機能ではなく、身体や暮らしに寄り添う設計の象徴だ。
これからのデザインは、こうした「守る・包む・安心する」感覚を軸に、光や風、雨との対話を意識して形にしていきたい。



余白空間の実現と
内外を融合させよ
北崎の建築は、単に大きな窓や物質的な広さだけで解放感をつくるわけではありません。
視線が抜け、光を感じ、身体が自然に拡張することで、心がそっと自由になる。
そこでは、日常の自分を取り戻し、自分の可能性を静かに感じられる。
この空間は、黙考を誘い、思考を整理し、明るさや前向きな感覚を呼び覚ます。
ただ「広い」と感じるのではなく、「何かを感じる、なぜか解放感がある」空間
光や風、内と外のつながりを通じて、心身に働きかける体験としてデザインされています。
北崎が設計する建築には、その不思議な解放感がいつも息づいています。
訪れる人の心が静かに整い、自分自身に向き合える時間を生み出す。

設計料以上を
追求せよ
人は、どうしても目に見える数字だけで判断してしまう。
建設価格、設計料――それだけが家づくりの価値だと思われがちだ。
しかし、その数字の裏には、目に見えない時間と手間が隠されている。
構造計算、構造計画、BIM、VR、省エネ計算
それらを統合し、単なる図面ではなく、「建てられる建築」を描くための綿密な設計デザイン
建設会社とのやり取り、性能保持の確認、完成までのプロセスの報告
一つひとつが、建築を現実に変えるための丁寧な仕込みだ。
そして完成した建築物こそ、見えない手間の証明である。
プロとして、あえて言葉にしない価値
しかし、現代は発信したものが勝つ時代でもある。
だからこそ、価値を理解する者には、数字の裏側をそっと伝えたい。

詰め込むな
色々な要素を盛り込んだ平面計画は、設計打ち合わせの場では建て主に喜ばれるかもしれない。
設計者にとっても、自らの工夫や能力を示し、有能さをアピールする機会になるだろう。
しかし、実際に住み始めてからは事情が変わる。
住まい手の好みや生活習慣は時とともに移り変わり、
新しい趣味を取り入れたい時もあれば、不要な場所が生まれることもある。
そうした変化が数十年にわたり繰り広げられる中で、当初の工夫を詰め込んだ空間は、早い段階で対応の限界を迎えてしまう。
だからこそ、設計時に設計者の有能さを誇示するのではなく、むしろ引き算による有能さを発揮すべきだと思う。
控えめでありながら可変性を備え、未来に向けてさまざまな可能性を受け入れられる平面計画こそが望ましい。
――実現に至らなかった過去の数々のデザイン案を振り返りながら、そんなことを思う晩夏の朝。



変化を意識せよ
北海道にも、梅雨のような長雨と湿度の高い季節が訪れる。
35℃に達する猛暑が続く夏もあれば、大雪に閉ざされる、圧倒的に白い冬もある。
この大きな変化の中で、設計者は時勢を見据え、気候の移ろいを常に念頭に置かなければならない。
変化を恐れるのではなく、それをデザインへと変換し積極的に提案する力を磨くこと
静かに、しかし確かにその力を身につけ、これからの建築を考え続けよ。




経年劣化を意識せよ
建築において、完成時の美しさや性能だけでなく、経年劣化を見据えた設計と素材選定は不可欠である。
外壁・屋根
-
外壁裏の確実な通気層の確保
-
屋根鋼板裏の通気配慮
-
外壁材は流行や価格だけでなく、メンテナンス性・経年劣化の少なさを重視
-
建て主自身によるメンテナンスの可能性も残しておく
気密・防湿
-
室内の湿気を壁内に入れないための気密シート厚さと施工方法の確認
-
気密測定試験による性能検証
窓・防水・換気
-
窓廻りの防水処理を徹底
-
換気システムは機器交換を前提とした選定を行う
内装・仕上げ材
-
室内壁仕上げ材は耐久性・防汚性を考慮
-
床材は傷の付きやすさ、耐久性を考慮。無垢材なら許容されるが、プリント系は注意が必要
-
建具の製品選定(建具高H=2.4M以上、要注意)と調整のしやすさを基準に選定
安全・維持管理
-
雨水処理・落雪対策を盛り込み、事故を予測した設計とする
-
照明器具は交換可能なLEDを基本とする
-
特殊な海外製品や特注品の多用は避け、代替可能で維持管理しやすい製品を選定する
建築は「完成した瞬間」よりも「長い時間をかけて育っていくもの」である。
その視点を忘れず、細部にまで配慮することが、真に持続可能な建築を生む。
経年劣化については、クライアントに丁寧な説明と了承を得る事 そして文書に残す事


設計にはスピード感を
長期間(1〜2年)にわたる設計期間を経ると、予定していた建設費に合わせることが難しくなっています。
2025年時点ではインフレの影響もあり、建設費は高騰しています。
そのため、設計にはスピード感が求められます。
具体的には、以下の項目を早めに確定させることが重要です。
-
建築規模
-
構造計画
-
省エネ性能
-
基本外観デザイン
-
インテリアデザインの方向性
間取りは建築規模が決まっていれば大きく建設費に影響しません。設備機器(キッチン、浴室、洗面など)は、仕様変更があっても製品価格の差し替えで対応可能です。
さらに、施工依頼する工務店(施工会社)の決定も早めることで、設計と見積もりの整合性が取りやすくなり、計画全体の進行がスムーズになります。
こうしたスピード感で設計を進めるためには、仕事の進め方や仕組みをシステマチックに整えておくことが重要です。
建築規模と基本デザインが決まった段階で早めに見積もりを取得すれば、金額に対する不安を抱えずにその後の詳細打ち合わせを進められます。


ワクワクを提案しろ
構造計算も省エネ計算も大切だが、それはあくまで裏付けだ。
クライアントが本当に求めているのは、心が動く空間だ。
胸が高鳴るデザインだ。
数字で安心を示すのは当然だ。
だが、数字だけで満足するな。
光を感じろ。
風を感じろ。
視線の抜けを意識しろ。
その先にある“ワクワク”をつくることを怠れるな。
技術で支え、感性で動かせ。
両輪で磨き上げろ。
そして忘れるな――建築家としての価値は、性能ではなく、心を動かす空間を生み出すことにある。




常識を疑い、自分軸を包み込め
自分の常識は、他人にとって非常識かもしれない
思い込みを疑い、柔軟に考えること
変化!変化!変化!
安定は退化にすぎない
ただし、自分の軸はしっかりと持っておけ!
その軸を包み込む思考は、日々更新し続けるものだ
自立的に行動し、考えを深めていくこと
それが生き方の土台となる
