第4回 階段の途中で振り返る『偶然の空き地が、建築を連れてきた』
- 建築設計 キタザキ アーキテクツ

- 7月8日
- 読了時間: 3分
今日も独立20年の階段途中、踊り場から見下ろしてみる。
過去を振り返れば、未来につながるヒントが見つかるかもしれないけど、
結局のところ未来は分からないですよね。
階段を見上げても、この先あと何段あるのかは誰にも分からないし、良い未来を想像することもできるし、悪い未来を想像することもできる。
でも、そのどちらも想像でしかない。今回思い出したのは、「クリハウス」の話

建築家として自邸「サクラハウス」を建てて5年ほど経った頃、隣の古い住宅が解体され始めた。
最初に頭をよぎったのは、「雑木林まで全部なくなってしまうのではないか」という不安だった。
サクラハウスは、大きな桜の木に寄り添うように建てた住まいだし、リビングからの風景を素敵に演出してくれていたのが、隣地の雑木林だから、、、
その風景だけは残したかった!
所有者を知っていたので、雑木林の一部だけでも譲ってもらえないか相談した。
もちろん答えは「難しい」だった。
そりゃそうだよねー
中途半端に土地を分ける理由はない。
さて、どうしよう??

そんなことを考えていた時期に、設計相談のお客様が2回目の自邸訪問に来た。
土地探し中のご夫婦に打ち合わせを終えたあと、ふと空き地を見ながら軽い気持ちで言ってみた。
「隣に建てませんか?」
今思えば大胆な話だ。
まだ設計依頼を正式にいただいたわけでもないし、このタイミングで土地まで勧めるなんて、自分でも少し驚く行動をとったもんだ。
もちろん無理に勧めたわけではない。
「考えてみます」
その一言だけだった。
ところが一カ月、本当にその土地を購入することになった。

廃屋は解体され、雑木林は無事残された!
桜と栗の大木も残った(現在も生長中)

今でも不思議な出来事だったと思う。
こうして生まれたのが「クリハウス」である。
サクラハウスと同じように、栗の大木へ寄り添うように建てたし、2階リビングからは雑木林越しに大野川の流れを眺める。

1階には趣味を思い切り楽しめる広い玄関
日曜大工、バイク、そしてサックス、、、
そのすべてを受け止める第二のリビングのような空間になった。
浴室は既製品ではなく特注で製作し、小さな坪庭を設け、春になると、湯船から満開の桜を見上げることができる。
その坪庭は寝室や洗濯室ともつながり、暮らしの中心に季節を取り込む場所になった。

振り返ると、この家も偶然から始まっている。
偶然空き地になったこと偶然土地探し中のご夫婦との出会い、そして解体中の設計相談があったこと
そして、軽い一言が現実になったこと
出来すぎた話に聞こえるかもしれないけど、ホントの話
でも振り返ると、建築の仕事はこんな偶然の積み重ねで生まれることが本当に多いです!
運なのか?
縁なのか?
それとも願いが少しだけ未来を動かしたのか。
答えは分からない。

ただ一つ言えるのは、サクラハウスとクリハウスは、今も雑木林を包み込むように並び、少しずつ成長する木々とともに風景を育て続けている。
踊り場から見下ろすと、そんな景色が今でも鮮明によみがえるし、自邸の2階リビングからは毎日自分が設計した『クリハウス』を眺めている。
あ!この話には続きがあって、『縁は次の縁を結ぶ』不思議な話に繋がります。




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